いきなりガラの悪いタイトルですみません。
でも「浅草キッド」を語るうえでこの言葉は外せません。
NETFLIXで公開された映画「浅草キッド」はビートたけしの同名の自伝小説、ビートたけしと師匠で深見千三郎の交流を、大泉洋、柳楽優弥のダブル主演、劇団ひとりが監督・脚本で描かれた作品です。
この二時間に及ぶ映画ですが、ツービートの漫才の勢いそのままに、全く時間を感じることのないテンポと勢いで、笑いあり、感動あり、そして最後にすべて納得して見終えるという、まさに「伝説」の芸人を描いた「伝説級」の作品といっても過言ではないと思います。
このなかで、深見の言葉の多くが「バカヤロー!」で結ばれる、もしくは「バカヤロー!」ではじまり「コノヤロー!」で終わるのです。
いや、とにかくすごい!
こんな陳腐な第一声しか出せないくらい凄い!圧倒されました。
何が?って、もうほとんど全て。何から話したら良いのかわからないくらい、演技もストーリーも、息つく暇もないくらい引き込まれっぱなしの2時間です。
要所要所で「今のビートたけし」が出てくるのですが、これが「本人」が出ているのかと思うくらい。
顔はもちろん特殊メークで老け顔にするのですが、しぐさがもう完璧で、実際エンドロールのクレジットでキャストのところでビートたけしの名を探したくらいです。
本編でも、顔はそりゃイケメンの柳楽優弥ですから、と思っていたんですがしぐさや表情、あの独特のクセまでも「本人」としか思えないなりきりっぷりで、もう「タケ」にしか見えなくなっていました。
一方の大泉洋は、残念なことに「師匠、深見千三郎」をまともに見たことが無いので風体はわからない、けどさすがに大泉さんです。大泉洋の顔のままで「コントの大御所」「浅草の師匠」の貫禄十分で、この人あってのビートたけしだと納得してしまうくらい演じ切っておられましたね。
監督の劇団ひとりの仕業なのかわかりませんが、しぐさはまねても「ものまね」にしていないのがやはり迫力につながったのでしょうか。声を作るとなんとなく変な力みを感じることがあります。短時間のネタならそれでも「似てる似てる」と笑って見れますが、映画一編終始それをやられると、演じる方も見る方も最後までもたないかなと、それが演者さん全てがマネでなく演技で「本人であるかのように見せる」ところが、この映画の一番すごいところかもしれません。
大泉洋も柳楽優弥もタップダンスも見事に魅せてくれますが、これも大泉洋は「カッコいい!」柳楽優弥は「たけしっぽい」が最高です。いや、うまいんです。大泉洋は上体はあまり動かないのに対し、柳楽優弥はちょっと猫背で全身で踊る。ビートたけしご本人も今ではタップを見ることはありませんが、この通りであったに違いないと確信するほどのダンスでした。
とにかく、凄いところを挙げてもキリがないし、下手な言葉を積み上げるほどに魅力が損なわれてしまうような気がするので、ぜひ見てもらいたい!と思います。
「芸人とか嫌い」という人でなければ、いやそういう人にこそ見てもらいたいですが、カッコよさと感動に時間を忘れること請け合いです。見て後悔は絶対にしないでしょう。
深見千三郎
師匠、深見千三郎とは?
テレビに出ることを頑なに避け、浅草でストリップの幕間の芸にこだわっておられたそうで、浅草以外にはあまり知られていないけれど、浅草では知らない人がいないくらいの「師匠」だそうです。
浅草で師匠といえば深見千三郎しかいないといわれるほどだった、というより浅草で「師匠」という言葉がそのまま深見千三郎を指す言葉だったということです。
深見千三郎の弟子にはビートたけしの他、ビートきよし、東八郎、萩本欽一、渥美清、内藤陳など、後にテレビで活躍した芸人が多数いました。
本人はテレビには決して出ませんでしたし、漫才はコントよりも芸として下に見ていたので、「タケ」が漫才で勝負をしたいと申し出た時に破門にしましたが、ビートたけしが出演するテレビはよく見ていて「タケ」の活躍はずっと気にしていたそうです。
他にも数々のエピソードがありますが、そのほとんどは「浅草キッド」内にありますので多くは書かないことにします。
ただ、とにかく格好良く生きた人だったようで、色々エピソードを見聞きすると、演じた大泉洋がそのままなのだなと納得させられます。
まとめ
映画のことも、師匠・深見千三郎のことも、書けば書くほど劇中のシーンが蘇ってくるので、それだけネタバレするということに他なりません。
そんなもったいないことはできないので、本当に見て欲しいです。
原作ですが、原典はビートたけし著の「浅草キッド」という本ですが、今は入手が困難のようです。
中身を比べることができなかったのでそのものかどうかはわかりませんが、内容的には「フランス座」という本が出ていて、内容紹介とビートたけし著ということなので、ビートたけしの言葉で見たい人はこちらの本を見てみると良いかもしれません。
最後までお付き合い、ありがとうございました。