「紳士のたしなみ」この言葉自体、近頃ではあまり聞かれなくなったように思いますが、いつの時代でも「渋いおじさま」が相応のいでたちで洒落た酒場でグラスを傾ける格好良さは不変です。
また、クールビズとか古くは省エネルック(めちゃ古~)が世に広まってから、ビジネスシーンでも「きちんとした」服装になる機会が減っていますが、それが当たり前になってしまうと、いざフォーマルなシーンにとなった時に格好がつかないことも見受けられます(自分です・・・)。
古いものが良いとか正しいとまでは言いませんが、伝統として今に伝えられている物事にはそれぞれ理由がありますので、「古臭い」「堅苦しい」なんて言わずにいろいろ理解した上で時代や自分にあったアレンジやコーディネートをするのが「真の格好良さ」ではないかなと思います。
とはいえ「ウンチク本」なんて理屈っぽいし、という取っ付きにくさはありますよね。マニアや真の「通」を目指すならまだしも、知識として知っておくレベルなら気軽に読める「ウンチクマンガ」がおすすめです。
王様の仕立て屋
![[大河原遁]の王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜 1 王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)](https://m.media-amazon.com/images/I/51oURInqtIL.jpg)
伝説の仕立て職人の弟子である日本人、織部悠。
外国人でもあるしカモッラ(マフィアと並ぶナポリのギャング団)との付き合いもあって、表社会ではなかなか認められない職人です。
良く言えば職人気質。頑固で傲慢で決して良い性格とは言えない若造が、その確かな技術と知識で無理難題を解決するシリーズ。
エピソードは主に一話完結ですが、シリーズ毎に一貫したストーリーがあり、周辺の人々との関係が楽しめる構成になっています。
納得しないと働かないとか、桁外れな特急料金とか、どこかで聞いたような設定ではありますが、期待通りかそれ以上の結果を出すあたりもまさに「あの方」の感じです。
ナポリの仕立てとは、他の国や地域(イギリス式やミラノ式)との違いとは?というウンチクから、靴や小物などの知識やコーディネートまで、「紳士」のファッションを広く理解できます。
実際にこんな人がいたら結構苦労しそうですが、もたらされる知識とユーザーに寄り添った出来を見ると、やっぱりお知り合いになりたいところもあるし、いつか織部さんに仕立て頼んでみたいと思います。特急料金は無しでね。
サルト・フィニート
腕はあるけど店も仕事もなく、ナポリで雑多な仕事で日々を生きていたオリベ。
大御所ペッツォーリの娘でありながら父にライバル心を燃やしてナポリに乗り込んできた「ジラソーレ社」創業者のユーリア。
ナポリの職人達とのもめ事をオリベの働きで関係を築けていきます。
ユーリアの父であるペッツォーリはオリベの兄弟弟子。
世界的なブランドになった「ペッツォーリ社」にもオリベは技術を認められて訪れますが、そこでも望まない確執に巻き込まれてしまいます。
お客さんの難題だけでなくこのような事件もオリベの卓越した知識と技術で痛快に解決していきます。
フィオリ・ディ・ジラソーレ
「サルト・フィニート」編でナポリに進出してきた「ジラソーレ社」。
自分の店を持ったオリベ。「ジラソーレ」の特急の外注として連携をする仲となっています。
本シリーズでは「ジラソーレ」に持ち込まれた難題を「ジラソーレ」のスタッフとともに乗り切っていきます。
下町テーラー
かつての恩人、針生親方が入院することになり、その間の店番を織部が針生親方の孫娘の舞花(通称ケメ子)と一緒にすることになります。
日本ならではの洋服事情、外国とのこだわりの違いなど、こちらもいろいろ気づきがあります。
日本で生きている訳ですから、日本なりのビジネススタイルとか、粋とかを笑えるエピソードや自分のことを思い起こすととても笑えないとほほエピソードなどから知ることができるのはちょっとうれしいです。
スマホで読めばかさばらないし、移動中でも周りに気兼ねなく読むことができるので、移動時間に自己啓発や能力開発の勉強も良いですけど、たまにはこういう雑学的なモノもどうですか?
ビジネス分野でこそありませんが、これも一応勉強ということで。