テレビでアニソン特集などを見ると、不動の上位は言わずと知れた「残酷な天使のテーゼ」で間違いありません。

若い世代では紅蓮華がそれに次ぐか並ぶかという感じですが、もう少し上の世代だと「ライオン」が案外上位にいる印象です。
エヴァンゲリオンはもうどうしたって世代を超えてもはや「伝説のアニソン」の部類でしょうが、マクロスFのライオンはテレビで流れる機会は残酷な天使のテーゼに比べて圧倒的に少ないですが、ランクインしているのを見ると嬉しくなってしまいます。

ちょっとオッチャン世代だとマクロスといえばリン・ミンメイらしいですが、マクロスFの登場人物たちも負けず劣らず魅力的だと思いますし、アニメとしての完成度も今見ても決して見劣りすることのない出来だと思います。
そんなマクロスFについての語りにお付き合いいただけたらと思います。
ガンダムとマクロス
ロボットマンガから「アニメ」にかわった立役者の一端はガンダムにあると言っても過言では無いと思います。

そのガンダムにしてもローカル局の放映に始まり、そもそも企画が「おもちゃを売りたい路線」でタイトルも企画案の段階ではもっと子供っぽいものだったと言います。
それを今のような「ガンダムワールド」に育てた富野監督はすごいの一言ですが、マクロスもガンダム世代に始まり、令和に至るまでシリーズ化されているなかなかの作品です。
ガンダムがブームになった時は、ロボットアニメがかなり多く制作されていて、当時のアニメ雑誌ではガンダムに対抗するような扱いを受け、オタク人気も高かった作品もありましたが、結果として今残っているのはガンダムとマクロスだけになってしまいました。
ガンダムもマクロスも継続性がある話の根幹を持ち、進化し続けたことが今まで残っている要因だと思います。
同じ宇宙を舞台にしたロボットものですが、
ガンダムは地球圏でスペースコロニーに住む人々が舞台で、根幹は地球に住み続けたい人と、地球を汚染から守るために地球から人類を引き剥がしたいスペースノイドの戦いです。

対してマクロスは、初めから宇宙人との戦いであり、地球人は移住できる星を探して宇宙に旅に出ます。ガンダム風にいうとスペースコロニーごと引っ張って宇宙をさまよっているといった感じでしょうか。さまようといってもコロニーに匹敵する巨大宇宙船なので人々は普通に生活をしているのでさまようという言葉に感じられる悲壮感は全くありませんが。

そういう背景からすると、ガンダムにはメインストーリーに歴史があり、時代物のように見ていくことができるのです。
マクロスの方は数多くの船団が色々な方面に旅立っていますので、舞台の船団が変わるとストーリーの関連性は薄くなります。
それでもリン・ミンメイは伝説のアイドルだったり、マクロス7にはマクロスの登場人物が登場したり、マクロスFではマクロス7の主人公が伝説になっていたりと、小ネタ程度ですが世界観はきちんとつなげています。
マクロスの移民船団には、初めのマクロスで戦った相手のゼントラーディー人も乗り込んでいて共存共栄がなされているのも良いですよね。
ガンダムもマクロスも、お互いの世界観も方向性も違いますが、その中で根幹をしっかりして継続しているのが長く親しまれる理由では無いかと思います。
マクロスFの世界
マクロスの世界観で外せないものが「可変飛行機」と「アイドル」と「三角関係」なんだそうです。
全部を並べると壮大なことになってしまいますので、マクロスFを中心に見ていきます。
メカ
可変飛行機は言わずと知れた「バルキリー」です。
ロボットが飛行機形態に変形するのは古くは勇者ライディーンで見て「かっこえぇ」と思ったものでしたが、バルキリーはライディーンよりもきっちりメカ的に変形します。
Zガンダムも同じような変形ですが、バルキリーのガウォーク形態はさらに画期的です。
あれなら今の技術の延長線上でそう遠く無い未来に実現できるのでは?と思ってしまいます。
実際にあの形態であの動きをされたらパイロットは無事では無いと言われていますが。
マクロス本体についても、バトル形態は健在で、マクロスFの「クオーター」の戦闘は迫力と機動性を兼ね備えた、やっぱり「かっこえぇ」ものです。
話は戻りますが、バルキリー。ぱっと見は初めのマクロスで活躍したVF-1とかなり似た形状ですが、マクロスFではVF-25メサイヤへと進化しています。
またフロンティア船団ではなくギャラクシー船団からやってくるバルキリーはVF-27ルシファーです。
ちなみにマクロス7では前進翼のVF-19エクスカリバーが登場します。
このあたりのバルキリーの開発に絡む話がOVA「マクロスプラス」にありますので、バルキリーに興味を持たれたらぜひこちらも見てみてください。開発中のYF-17とYF-21、この2機の運命は?実戦配備は?興味は広がります。
バルキリーだけでなく、色々世界観のつながりもわかるので、マクロスFがより深く楽しめるでしょう。
アイドル
個人的に、ガンダムに比べて物語が・・・と思っていたマクロスが人気を保てたのはリン・ミンメイがいたからと言っても過言では無いと思います。
オタクという言葉が広まった時期で、2次元アイドルがこの後いろいろ世に出てくることになりますが、リン・ミンメイの存在が大きいのは間違い無いでしょう。さすが美樹本晴彦!

ですがマクロスFでのアイドル、シェリル・ノームとランカ・リーはリンミンメイに決して負けていません。

ランカ・リーの方はサクセスストーリーがリン・ミンメイにちょっとかぶるところがありますが、シェリル・ノームは初めから銀河の歌姫として絶対的なスターとして登場します。
ところがこの絶対的スター、シェリル・ノームのツンデレぶりがまた可愛いんです。

この辺は、時代を反映していると言うのでしょうか。
はじめは「美人のお騒がせキャラ」くらいに思ってたのですが、見返すたびに可愛く感じられてきて、あの「デレ」が自分に向けられたらイチコロだと思うのは年を取ったせいではないと思います。
アイドルの歌も、リン・ミンメイはアイドル然とした歌謡曲調でしたが、マクロス7のバンドを経て、マクロスFでは歌も本格的に聴かせてくれます。
歌が中心軸にあるマクロスシリーズといえどもアニメのクオリティーを超えてると思ったらやはり音楽担当は菅野よう子さん。
シェリルの歌を担当したMay'nはこの後いろいろアニソンを歌って実力を発揮しましたし、ランカ・リーの声優はオーディションの条件が「歌を歌える人」だったと言います。
冒頭であげた「ライオン」はこの二人の掛け合いで、劇中でもクライマックスで歌われるのですが、その場面に合った臨場感を増幅するかのようなすごいものです。
ただ、一応補足しておきますが、冒頭でふれた「ライオン」は残念ながら物語の終盤にならないと出てきません。とは言ってもさすがの菅野よう子さん、どの曲も聞きごたえ十分です!
三角関係
これに関しては、まあ三角関係は出てきます。あえて「まあ」といったのは、ただ三角関係を扱ったということにとどまらず、もっと広い意味の「愛」について語りかけているようだからです。
主要人物の、アルトとシェリル、ランカの恋愛事情は察せると思いますが、パイロット仲間のミシェルとルカの恋愛事情、彼らの隊長オズマの大人の事情とか、愛といっても恋愛だけではないもっと大きな愛情とか、油断していると目頭が熱くなりそうなくらいの感動がえられるでしょう。
マクロスFはマクロスシリーズに受け継がれてきた「愛」の先に来る「人間ドラマ」といっても良いと思います。
映像
この時代のアニメにはCGが多用されていますが、マクロスFも美しい映像で描かれています。
でも最近の3DCGのようにメカだけがやたらリアルということではなく、背景などの絵とメカがマッチしていてCGと言っても普通に見ては違和感がありません。違和感が無いというより、CGと手描きの融合が見事で「テレビシリーズでここまでやったんだ!」という感動ものです。
人の動きもよく描かれていて、特に後半のシェリルやランカの歌っているシーンの振り付けはかっこよくて可愛くて。最近のアニメはもっと凄いのかもしれませんが、この時代のアニメにあって今の時代のものに対して見劣りしません。
もちろんロボットアニメで重要な戦闘シーンもです。
佳境になるとこの戦闘シーンに歌をのせてくるのですが、こののせ方が秀逸です。
よく映画のクライマックスにテーマ曲をのせるのを見ますが、まさにそういう感じで、歌だけ聴いているのとまた違ったかっこよさだったり、気持ちのノリを感じられます。
この戦闘シーンを見たいがために何度も見返したほどです。
まとめ
ちょっとハードルあげてしまった感はありますが、今の時代にあってこの当時のアニメが見劣りしないというのは凄いことだなと思います。
ちょっと本文に入れ損なったというか、そのくくりで書こうか迷っているうちに抜けた情報を一つ補足します。
OVAでマクロスゼロというアニメがあるのですが、実はそのくだりがマクロスFの中に出てきたりする、かなり重要な物語です。
気がつかなければネタバレにもならないエピソードですが、マクロスの世界観のつながりがちょっと深まるアニメです。
マクロスFを見た後でゼロを見て、そういうことだったのか、と感じるもよし、時系列通りに見て予備知識とするもよし、マクロスFが気になったら見ておきたい作品です。
あまりネタバレすると楽しみが減ってしまうけれど、魅力を語るためには内容に踏み込まなければ、というところで気をつけつつ書いてきたつもりですがいかがだったでしょうか。
少々「愛」が強かったかもしれませんが、マクロスFを見て共感していただければ幸いです。
こちらから配信動画がご覧いただけます。
最後までお付き合いありがとうございました。