「日本の冬はこたつでみかん。」
昭和の頃はこれが定番でしたが最近ではこたつを使う家庭もだいぶ減ってしまったとか。
でもみかんは変わらず冬には欠かせない果物ですね。
ところでこのみかん、産地によってだいぶ味が違うんです。
高い安い、時期によって、でももちろん味は変わりますし、買うお店が同じでも産地が違うと別物です。
「あの店のみかん美味しく無くなった」とか「高いやつじゃないから味が一定しないのかも」と疑う前に産地を気にしてみてください。
この記事では
- みかんの産地による味の傾向
- 美味しいみかんの選び方
などについて説明しますので、ぜひお好みのみかんを見つけて堪能していただきたいと思います。
みかんの産地

そもそもみかんの産地というと思い浮かぶのはどこでしょう?
だいたいはじめに挙がるのは「愛媛」「和歌山」ついで「静岡」「熊本」あたりでしょうか。
一般的にみかんといえば温州みかんですが、農林水産省の資料によると温州みかんは、北は新潟から南は沖縄まで、かなり広い地域で生産されています。
ちょっと古いデータですが、平成26年度の出荷量ランキングは

1位 和歌山県 173,700t
2位 愛媛県 128,500t
3位 静岡県 124,900t
4位 熊本県 94,900t
5位 長崎県 64,400t
6位 佐賀県 51,900t
となっていて、6県合計で638,300t。
温州みかん全体で874,700tだそうですので、上位6県で全体の7割以上を生産しているということになります。
みかんの種類



一言にみかんと言いますが、柑橘系で見るととても多くの種類があります。
一般的に「みかん」と呼ばれて流通しているのは「温州みかん」というものです。
ほかにもオレンジや清見など、特に愛媛県は柑橘王国などとも言われさまざまなみかんが出荷されていますが、ここでは温州みかんについて説明します。
実は温州みかんでも地域によって研究交配もされていますが、そこは「みかん」というひとくくりにしますのでご了承ください。
各生産地のみかんとその特徴
和歌山

言わずと知れた、みかん出荷量日本一の和歌山です。
古くは徳川将軍家御用達のみかんとして知られています。
紀伊国屋文左衛門が紀州から江戸に船でみかんを送ったことで有名ですが、実はこの当時のみかんは「紀州みかん」といって、現在一般に流通しているみかんではなく小ぶりのみかんだったとも言われています。
小ぶりのみかんとは鏡餅の上に乗せる小さいみかんですね。
特徴
和歌山みかんの味の特徴は、上品に甘みと酸味のバランスが取れたみかんです。
甘いだけでなく程よい酸味があって、「これぞみかんの味」といった感じです。
ブランド
有田みかん
和歌山といえば言わずと知れた「有田みかん」。有田みかんだけで全国のみかんの約9%のシェアを誇っています。
でも、有田みかんのブランド以外でも和歌山のみかんは美味しいものが多い印象です。
愛媛

愛媛と言えばみかん、みかんと言えば愛媛、というくらい一般的に知られた愛媛のみかん。
瀬戸内海に面した安定した温暖な気候に恵まれて日本一とも称されるみかんの産地です。
温州みかんの他にも様々なみかん・柑橘系が収穫されている柑橘王国。そこで収穫されるみかん、柑橘系はやはり絶品です。
特徴
甘みと酸味のバランスが非常によく、それぞれの味が濃いみかんが多いです。
甘みが強いみかんと食べ比べると、はじめは酸っぱいと感じられるかもしれませんが、実はその酸味にも負けないくらいの甘みがグッと濃縮されている感じです。
ブランド
南宇和みかん
西宇和の中にもいろいろあります。

各地でそれぞれブランド化しています。
「日の丸」みかんは日本一の評価を得たことでも知られています。
個人的に最近のおすすめは八協共撰の「和みみかん」です。
静岡
みかんの出荷量を愛媛と競うくらいのみかんの産地。ここで示したデータでは愛媛が2位、静岡が3位となっていますが、それも僅差でみかんの種類によっては静岡が2位になるくらいの生産地です。
寿太郎みかん、三ケ日みかんなど、収穫期間が長く春先に流通するみかんも多くあります。
特徴
静岡のみかんは酸味が強いという印象を持つ人も少なくないと思いますが、実はそんなことはありません。
ブランドの三ケ日みかんなどは大変甘いみかんで、酸っぱいみかんと思っている人の意識が崩れることは必至です。
ブランド
青島みかん
静岡でみかんと言えば「青島みかん」。
実は「青島みかん」は他の地域でも生産しているところがあります。
西浦みかん
この地域では青島みかんよりも糖度が高い寿太郎みかんが発見され、一般的な温州みかんが終わりを迎える3月以降にも「寿太郎プレミアム」として新たなブランド化が進められています。
三ケ日みかん
丸浜みかん
その他の地域と勝手な総評
まとめちゃってすみません「九州のみかん」
全部あげるとキリがないので産地別としては上位3県の紹介にしましたが、この後には熊本、長崎、佐賀と九州が続きます。
九州のみかんは全体として甘みが濃厚だと言えると思います。
だからと言って甘いだけではなくみかんとしての酸味もしっかりありますが、他の産地と比べると全体的に甘みが強いと感じます。
みかんはとにかく甘いのが良いという方には九州産のみかんがおすすめです。
農産物は何でもそうですが、ランクによって味が違うことがあります。
でもランクが高ければ美味しいのか?ランクが高ければ甘くて低ければ酸っぱいのか?というと単純にそういう訳ではなく、ランクが高いものは安定しているというのが正しいと思います。
最近では酸っぱいみかんというのはそれほど出回ることはなくて、等級の低いものは水気や味が抜けているものの確率があるということです。
なので等級が低くても十分美味しいみかんに当たることはあります。ただ等級の高いものだとばらつきなく美味しいみかんに当たると考えれば良いでしょう。
もっとも各地の最高ランクのものだと、もしかしたら一味違うみかんに出会えるかもしれません。
興味と余裕があればそういうものを食べ比べてみるのも一興ですね。
美味しいみかん産地の共通点
美味しいみかんには絶対に欠かせない条件があります。
各みかんの産地を見比べてみてもその条件に当てはまっているということがわかります。
ではその条件を見てみましょう。
照りつける太陽

みかんに限らず多くの農産物がそうですが、日当たりは育成には重要です。
美味しいみかんは、「暖かい太陽の日差し」「海からの照り返しの日差し」「段々畑の石垣の照り返し」に恵まれていると言われています。
温暖な気候

冬が冷えすぎず、夏の日照時間が長いことも美味しいみかんに必要な条件です。
和歌山、愛媛、静岡、九州、どこを見ても温暖で安定した気候、海は暖流に面した暖かい地域です。
段々畑

みかんの収穫時期には山全体がみかん色に染まり、美しい風景となる段々畑。南に面した急傾斜によってどの角度でも太陽の光が当たり、甘くて美味しいみかんが栽培されます。石垣の石は熱が冷めにくいためカイロのように暖かさを保つ役割を担い、また段々になっていることで雨が降っても水はけが良いことも理由のひとつです。
みかんの栽培に重要な要素に段々畑があります。
段々畑は南に面した急傾斜によってどの角度でも太陽の光が当たり、甘くておいしいみかんが育ちます。
また石垣は熱が冷めにくいため畑を温かいまま維持できます。
さらに急こう配は水はけを良くすることができます。
植物の生育には水は必要ですが、果実が美味しくなるには過度な水は禁物です。
段々畑は余計な水を掃いてしまうのでみかんに濃厚な甘みをもたらします。
美味しいみかんの見分け方
色が濃い

気温が低下し収穫が近づいてくると、果皮や果肉にカロチノイドという色素の成分が生成されます。果実が十分に成熟し、この色素が十分生成され、果皮のオレンジ色が濃くなることで、果肉(食べる部分)が完熟して甘みも増しているということが考えられます。
引用:JAありだ
基本的にまず紅が濃いみかんを選ぶことが第一歩です。
軸が細い

植物は栄養成長が盛んであれば、枝が良く伸び、果実も大きくなります。逆に栄養成長が衰え、生殖成長が盛んになると、果実が熟し、甘みが増します。
引用:JAありだ
つまり栄養成長が盛んな枝は長く太くなる。みかんのヘタ(軸)が太いということは、栄養成長が強い(強かった)枝になっていた果実の可能性が高いということです。
栄養成長が盛んでない方が甘い果実になるという、ちょっとわかり難い言い方になりますが、注目したいのは「果実も大きくなる」というところです。
木の幹や土壌が同じだとすると同じ量の養分が実に渡ることになります。同じ養分が入るとなると器は大きいよりも小さい方が濃縮されるということです。
一般的にみかんはL玉よりもS玉の方が甘いと言われるのはそういうことです。
ヘタが黄色い

ヘタが黄色味がかっている方がより熟しているということです。
茶色になっていたらそれは時間が経っているのかもしれませんが、紅葉のように色がつき始めているようなみかんが完熟して食べごろと言えます。
皮が薄い

果皮が薄いというのは、夏の生育期間中(特に成熟期)に栄養成長が強すぎてなかったということ、つまり糖度が十分に生成されたと言えます。雨が少なく果実の肥大も抑制された場合、果皮は薄くなります。従って内袋(じょうのう)も薄くなり食感も良いでしょう。更に極端に水分不足の年には、果皮を生成する養水分が果実に十分行き渡らず、極端に薄い部分ができます。
引用:JAありだ
あまり皮が薄いと剥きにくいということもありますが、皮が薄いということはそれだけ栄養が実に集まっているということ、つまり濃厚だということです。
形がきれいで締まっている

←こちらはあまりよろしくない例です。
形が良くない(三角や四角っぽい形)ものは、果実内の成熟のバランスが良くないと考えられます。
引用:JAありだ
また、成熟期に雨が多いなど水分を多く吸収しすぎたりすると、皮だけ成長を続けて、果皮と果肉の間に隙間ができる「浮皮」になることがあります。丸く、形の良いみかんでなくなります。これらは比較的薄い味のみかんになります。
「ボケてる」という言葉を聞いたり使ったりすることは無いでしょうか?
凸凹で手触りがボカボカしたみかんはまさにそういう状態の可能性が高いということです。
ただし、店頭でみかんをつまんだりすると余計に傷む原因になりますのでむやみに押したり摘まんだりするのは慎みましょう。
表面のキメが細かい

みかん表面にはボツボツがあります。それこそがみかんの皮の特徴であり、みかんの絵を描くときなどは表面にボツボツをわざわざ付けたりしますが、このボツボツは細かい方がみかんは美味しいのです。
これを油胞(ゆほう)と呼びます。この中には精油中に広く含有される成分の一つ「リモネン」という物質などが含まれます。この成分は、柑橘系の香りを発するほか、油汚れなどの洗剤としても利用されています。で、このブツブツが細かい(果皮のキメが細かい)方がおいしいと言われています。果実が生育する過程で、細胞分裂が十分に行われ、中身(果肉)も十分に熟成した果実と考えられます。
引用:JAありだ
編集後記
手軽に食べられて気がついたら手が黄色くなっていたりするくらい止まらないみかん。
美味しいみかんは糖度も高いので食べ過ぎは禁物ですが、どうせなら美味しいみかんをいただきたいものです。
はじめにも書きましたが、みかんは産地で味の特徴があります。
みかんを買うときには値段だけではなく産地も気にして、お好みの味を見つけてみてはいかがでしょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
参考にしたサイト
和歌山県
愛媛県
いよ観ネット
みかん王国熊本
JA長崎
JA佐賀