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【マンガ】ニュクスの角灯 高濱 寛

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19世紀末、世界が一番素敵だった頃のお話。

時は明治、幕末も終わり海外貿易で莫大な利益を得る商人が現れ始めた長崎。

西南戦争で両親を亡くした美世は奉公先を求め道具屋「蛮」のドアを叩く。

そこで彼女の目に飛び込んできたのは店主・小浦百年(こうらももとし)がパリ万博で仕入れてきた最先端の品々。

ドレスやソーイングマシン(いわゆるミシンですね)、蓄音機(フォノグラム)、幻灯機(マジックランタン)など、当時長崎が日本の最先端とは言っても日本人が初めて目にする品々。

人々の感動とワクワクを読んでいるとこちらもワクワクしてきます。今では逆にレトロで珍しいような品々なんですけどね。

高浜寛 (著) リイド社 リイドコミックス<br>先進と享楽の都・パリ渡来からやってきた“夢の品々”に導かれ、少女はまだ見ぬ世界へ歩み出す

亡き父に大事に育てられた美世は家事な何もできず、かといって「女子は本など読まないで良い」と字も読めず、本当にそのままでは何もできない少女でした。

本当かウソか、触ったものの持ち主の過去や未来が見えるという不思議な力(神通力)があると言いますが、それで仕事ができるわけでもなく、モモさん(百年)から読み書きを教わります。

美世自身は何もしてこなかったので何もできないと思い込んでいましたが、覚えの速さはモモも驚くほど。昔の女性は能力が高くても教育を受けなくてその力を発揮できなかったとか聞きますが、まさにそういう時代だったんだなとあらためて感じます。

引っ込み思案だった美世がモモさんや周りの人々との交流で、美世自身の世界が広がりはじめていく先がまたワクワクしますし、そこで美世が出あう品々。

素敵なタッチの画と、モノにまつわるエピソードもどれも素敵で、「世界が一番素敵だった頃」に気づいてしまえばもう気持ちはもう明治の世の長崎に立っているかもしれません。

一コマ一コマがそこに自分が立っているかのような、絵画のような、引き込まれるなと思ったら、それもそのはず

「第21回 文化庁メディア芸術祭 マンガ部門『優秀賞』」だそうです。

電子版で読んでた時は知らなかったんですけどね。

素敵な絵とモノたちのエピソードをどうしても手元に置きたくなって本を買ったら「帯」に書いてあってビックリ!でした。

読み終わって周りを見回した時に、この何でもあるのが当たり前の時代、たいした感動もなく生きていることに寂しさを感じてしまいました。

いや、実際はいろいろ感じているはずなんでしょうが、それにこの時代だって今では考えられないような苦労もいっぱいあったとは思いますが、生きてるって感じですよね。

あまり語るとネタバレしそうなのでおさえておきますが、登場人物達の、この時代だからこその波乱万丈とレトロの世界をぜひお楽しみください。

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